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2022年05月27日 [情報]

「雇用保険マルチジョブホルダー制度」について 〜概要(ポイント)〜

 令和4年1月1日より、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」がスタートしました。
 制度の適用を受けることを希望する対象労働者から、事業主の皆様へ協力を求められた場合には、速やかに対応する必要があります。また、当該労働者から協力を求められたことを理由として、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など、不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられていますから、この制度について基本的ことを正しく理解し、該当する労働者から協力を求められた場合には、いつでも適正に対応できるようにしておきたいものです。
 施行から約半年、高年齢者が活躍する今般、そろそろ、制度についての協力を求められることが出てくる頃ではないでしょうか。
そこで、今回は、当該制度の概要(ポイント)について説明いたします。

1.マルチジョブホルダー制度とは (厚労省Q&Aより)

 雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込等の適用要件を満たす場合に適用されます。
 雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうちの2つの事業所での勤務を合計して下記の加入要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から、特例的に雇用保険の被保険者(以下「マルチ高年齢被保険者」と言います。)となることができる制度です。
 マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金(被保険者期間に応じて基本手当日額の30日分又は50日分)を一時金で受給することができるようになります。
※ちなみに、65歳以上の労働者に限定して本制度を令和4年1月1日から試行実施し、その効果等を施行後5年を目途に検証することとしています。

2.雇用保険マルチジョブホルダー制度における雇用保険の加入要件とは

 以下の要件をすべて満たすことが必要です。(厚労省Q&Aより)
@ 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること。
A 2つの事業所(1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であるものに限る。)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
B 2つの事業所のそれぞれの雇用見込が31日以上であること。
なお、雇用保険に加入できるのは2つの事業所までです。
また、2つの事業所は異なる事業主であることが必要です。    
       
3.基本的な手続きの流れについて(厚労省リーフレットより)

 通常、雇用保険の資格の取得、喪失手続きは、事業主が行いますが、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、マルチ高年齢被保険者としての適用を希望する本人が手続きを行う必要があります。事業主の皆様は、本人からの依頼に基づき、手続きに必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)を行うことになります。これを受けて、本人が、適用を受ける2社の必要書類を揃えてハローワークに申出をします。

☆ マルチ高年齢被保険者の資格取得日は、ハローワークへ申出をした日となり遡及加入はできません。
☆ 手続に関する必要書類の提出先は、マルチ高年齢被保険者として申出をする方の住所又は居所を管轄するハローワークとなります。
 なお、マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する者の代理人(※)として、事業主がハローワークに雇用保険の加入や喪失の手続きをすることは可能ですが、その際の提出先も事業所の所在地を管轄するハローワークではなく、マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する者の住所又は居所を管轄するハローワークとなります。
※代理人による手続きの際は、委任状が必要です。          

4.3つ以上の事業所で勤務している場合について(厚労省Q&Aより)

 3つ以上の事業所で勤務している場合は、マルチ高年齢被保険者として申出をする方が雇用保険に加入する2つの事業所を選択することになります。なお、3つ以上の事業所(事業所A,B,C)で雇用され、それぞれの事業所との雇用契約が週5時間以上20時間未満である場合、このうち2つの事業所(事業所A,B)によってマルチ高年齢被保険者資格を取得し、そのうちの1つの事業所(事業所B)で離職しても、残る2つの事業所(事業所A,C)で、週の所定労働時間の合計が20時間以上となり、それぞれの事業所における雇用見込が31日以上であるのであれば、引き続きマルチ高年齢被保険者として取り扱われます。
 この場合、マルチ高年齢被保険者は、事業所Bを離職する時点で、事業所A,Bにかかる資格喪失の手続きを行い、そのうえで、事業所A,Cにかかる資格取得の手続きを行うこととなります。        

その他、マルチジョブホルダー制度についての事業主の留意事項について(厚労省Q&Aより)

@ 雇用保険マルチジョブホルダー制度は、本人の申出により雇用保険が適用されますが、その後の取扱いは、通常の雇用保険の被保険者と同様であるため、任意脱退は認められていません。

A 1つの事業所での雇用が継続しており雇用契約に変更がない場合であっても、他の事業所を離職した場合や他の事業所の週所定労働時間が20時間以上となった場合、マルチ高年齢被保険者ではなくなるため、マルチ喪失届(離職証明書)の提出が必要となります。

B 自社のマルチ高年齢被保険者の週所定労働時間を20時間以上に契約変更した場合は、マルチ高年齢被保険者ではなくなるため、マルチ高年齢被保険者本人から住居管轄ハローワークへマルチ喪失届の提出が必要となりますから、その旨、本人へ伝えましょう。併せて、通常の高年齢被保険者となるため、事業主は契約変更した翌月10日までに事業所の管轄するハローワークへ雇用保険被保険者資格取得届を提出することとなります。

C 社会保険労務士や労働保険事務組合が事業主の代わりにマルチ取得届やマルチ喪失届を作成することは可能ですが、提出代行等はできません。ただし、マルチ高年齢被保険者本人が社会保険労務士へ委託している場合は代理人として申請することは可能です。         

☆ 同制度の詳細については、厚生労働省HPで確認できますので、ご確認ください。


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