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2021年05月27日 [情報]

外国人を雇用する時の基礎知識

 少子高齢化が進み、生産年齢人口(労働力人口)の急激な減少により、日本企業が深刻な人出不足の問題を抱えているのは周知の事実です。また、その問題を解決するため、政府が「一億総活躍社会」の実現を目指し様々な取組みを行ってきたことも周知の事実で、政府が取り組む「外国人労働者の受け入れに対する支援」も、労働力不足解消の為のひとつの施策と考えられます。
 このような状況の中、私たちは、多くの外国人が日本で働く姿を見かけます。
 では、実際に、自分の会社で外国人を採用したいと考えた時に、はたして適正に採用できるでしょうか。いざ外国人から応募があった時や、優秀な外国人だから是非採用したいと考えた時に、慌てないよう、「外国人を雇用する時の基礎知識」を解説いたします。

 まず、「在留資格」や「資格外活動の許可」など、、、外国人の雇用にかかわる主要な言葉の意味を確認しましょう。次に、外国人を雇用する場合の具体的な手順を確認しましょう。

1.在留資格とは?
行政機関(出入国在留管理庁。以下「管理庁」と言います。)が与える有効期限付きの許可の一種です。日本滞在を希望する外国人に対して、管理庁が審査して許可された外国人だけが日本に入国・滞在することができます。在留資格は、就労の可否や就労制限の有無などにより区分されています。

☆就労に制限のない(どのような職業にも就ける)在留資格
 「一定の身分または地位を有する者」に与えられる在留資格で、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格です。

☆就労に制限のある在留資格
 入管法の別表第1の1,1の2に記載されている在留資格で、与えられた在留資格の範囲内で就労が認められているものです。例えば、技術者・エンジニア、営業担当者、経理・会計担当者、通訳者、語学講師などは、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が許可されます。原則、単純労働のような仕事には、就労の在留資格は許可されません。

☆就労不可の在留資格
 「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」の在留資格で、就労が認められていません。ただし、「留学」、「家族滞在」の場合は、管理庁から、あらかじめ「資格外活動の許可」を得ていれば、週28時間以内などの範囲内でアルバイトをすることは可能です。

2.在留資格の決定・変更・更新の手続きは?
 在留資格は、管理庁が取り扱う許可で、日本での活動内容に応じた決定、変更、更新、また、法令違反があった場合の取消し、罰則などが行われます。例えば、「留学」の在留資格を許可された外国人が日本で就職する場合は、「技術・人文知識・国際業務」などの就労の在留資格に変更します。

3.外国人を雇用する場合の留意事項は?
 外国人の在留カードを見て、在留資格、就労制限の有無、在留期間(満了日)などを確認します。留学生のアルバイトの場合は、在留カード裏面の資格外活動許可欄に許可と記載があるかどうかを確認します。会社で外国人の不法就労があった場合は、外国人本人だけでなく、不法就労させた事業主(社長)も処罰の対象となりますから留意が必要です。

<不法就労とは?>
在留期限の切れている外国人が働くこと
「短期滞在」、「留学」、「家族滞在」など、働くことが認められていない在留資格の外国人が働くこと
※管理庁から、あらかじめ「資格外活動の許可」を得て、「留学」、「家族滞在」の在留資格を持つ外国人がその範囲内で働く場合は不法就労になりません。

現在の在留資格で認められた範囲を超えて働くこと
※例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を工場で単純労働的な業務に従事させることは不法就労になります。また、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が、勤務先の休日に、学生時代のアルバイト先のコンビニでレジ担当の業務に就くことも不法就労になります。

4.外国人を雇用する場合の具体的な手順は?
(1)外国人を自分の会社で、どのような仕事に従事させるか、その業務内容を決め、就労の在留資格が許可される可能性のある外国人を採用することになります。つまり、例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格であれば、当該在留資格の業務に該当する「専門的、技術的な業務」の社員として採用するということです。

外国人を営業・企画担当者として採用する場合は?
 大学で経営学などの人文科学を専攻したなど該当する学歴や専攻分野のある外国人を採用します。
 管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」のうち、「人文知識」の活動内容で審査します。
 
外国人を通訳・翻訳の担当者として採用する場合は?
 大学院、大学、短大を卒業した外国人を採用します。
 管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」のうち、「国際業務」の活動内容で審査します。

外国人を技術者・エンジニアとして採用する場合は?
 大学で機械工学などの技術を専攻したなど該当する学歴や専攻分野のある外国人を採用します。
 管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」のうち、「技術」の活動内容で審査します。

(2)入社日までに就労が認められた在留資格になっていることが必要です。留学生の採用であれば、入社日までに「技術・人文知識・国際業務」、「特定技能」などの在留資格に変更します。また、すでに就労の在留資格で働く外国人が転職し従事業務が変わる場合は、在留資格の変更が必要な場合があります。なお、内定通知書には、「在留資格が許可されない時は、内定は無効とする」旨、明示し、本人からも同意を得られるよう十分な説明をしておきましょう。

(3)いよいよ外国人が入社した場合には、会社は、原則、日本人に対するのと同様に、入社時の手続きを行います。要件に該当すれば、労働・社会保険に加入し、所得税、住民税が課税されます。労働基準法なども日本人と同様に適用されます。なお、雇用保険被保険者に該当する場合には、雇用保険被保険者資格取得届出が必要となりますが、外国人雇用の場合には、雇用保険被保険者に該当しないアルバイトの場合でも、「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書」をハローワークへ提出しなければいけません。

5.外国人の技能実習生とは?
 外国人の技能実習生の制度は、日本で開発され培われた技能、技術、知識を開発途上国等へ移転すること等を目的とした制度です。海外の技能実習生の送出機関から日本の受入機関に招へいされ「技能実習」の在留資格で働く制度ですから、現に日本に住む留学生や外国人を技能実習生として採用することはできません。

6.「特定技能」の在留資格とは?
 2019年4月から「特定技能」の在留資格が新設施行されました。これまで就労の在留資格は、主に「専門的、技術的な業務」に従事するものに限定されていましたが、介護、宿泊業、飲食料製造業、外食業など14分野で、「日本人と同じ業務(主に現業)」に従事できる分野が広がりました。ただし、外国人を「特定技能」の在留資格で雇用するときの、会社が満たすべき基準が詳細に定められておりますから、必ず、出入国在留管理庁等、所管機関で基準等を確認する必要があります。

◆外国人雇用についての相談機関◆
 わからない時は、必ず相談しましょう。最新の法令に沿った対応が会社は求められます。

東京外国人雇用サービスセンター  平日9:00〜17:00
〒160-0004 東京都新宿区四谷1−6−1 コモレ四谷 四谷タワー13階
п@03-5361-8722
外国人在留総合インフォメーションセンター  平日8:30〜17:15
п@0570-013904   ※ IP電話、PHS、海外からのご連絡は 03-5796-7112

東京出入国在留管理局(就労審査部門) 
п@0570-034-259  ※ 就労審査部門は、実際に審査し許可を出すかどうか決める部門のため、見解に信頼がおけます。こちらにご相談ください。


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