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IT化で「申告されてない残業」が発覚 会社は過去にさかのぼって残業代を支払うべき?
2023年07月28日 [情報]
概要:勤怠管理システムを最新のものに入れ替える際の参考にするため、過去3カ月分の社用PCのログを調べたところ、複数の社員が未申告の残業をしていることが発覚しました。この場合、会社は未申告の残業代を支払うべきなのでしょうか。

A 結論から申し上げると、残業、いわゆる時間外労働については、それが未申告であろうとなかろうと、社員が実際に時間外労働をしたのが事実であれば、使用者は、時間外労働に対する割増賃金を支払わなければなりません。したがって、ご相談のように、PCのログ記録を調べて、PCの使用時間を客観的な労働時間として確認できた結果、残業時間が判明したのであれば、その残業が未申告によるものであったとしても、残業代の支払義務は生じるということになります。
ただし、その時間が本当に労働時間に該当するのかどうか、つまり使用者の指揮命令下に置かれている時間であったのかどうかということについては、必要であれば精査すると良いかもしれません。現代社会においては、PCの使用については、各社、厳格にルールを定めていると思われますから、ほぼ考えにくいケースではありますが、もしかしたら、業務終了後も、だらだらとPCからログアウトせず個人的な使用を続けていたりするということがあるかもしれません。ですから必要がある場合に実態を調査した上で、PCの使用時間が労働時間と合致しているということが確認できた場合には、そこから算出された残業については、たとえ未申告であっても、その残業代は支払わなければならないということになるでしょう。

 なお、この未払残業代については、労働者から遡って請求される可能性が大いにあると考えられます。そして、その請求権の消滅時効の期間は、行使することができる時から5年間となっています(労働基準法第115条)。なお、この賃金請求権の時効は、当面の間は、経過措置として3年間となっています(労働基準法143条3項)が、それでも、ひとたび労働者から請求されれば、会社にとっては、かなりの負担を負うことになるのではないでしょうか。

 また、そもそも労働時間の把握・管理義務は会社側にあり、使用者が労働時間を適正に把握しなければならないことになっていて、その適正把握のために、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録しなければならないとされています。その方法として、使用者自らの現認のほか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を確認することが求められており、労働者の自己申告制による労働時間は例外的な位置づけになっています。

 そこで、今回のように、システム導入にあたりPCのログを調べて、初めて残業が発覚したということは、こちらの会社では、残業の申告制だけでなく、普段の労働時間管理自体についても、自己申告制を取られていたとも考えられますが、前述のとおり、労働時間の労働者による自己申告制は、あくまでも例外的な方法であることから、PCのログイン・アウトの時刻などにより客観的な記録で確認できるのであれば、原則、その方法で労働時間管理を行っていなければいけなかったということにもなりますし、最初から、PCのログイン・アウトの時刻などで労働時間管理を行っていたなら、残業について未申告だったとしても、会社は残業時間の把握漏れはなかったのではないでしょうか。

 つまり、残業の申告、申出の有無にかかわらず、労働時間管理を適正に行うことが、残業時間の適正管理にも繋がるものと考えられます。
 さらに、今回のケースで、例えば、労働時間の管理方法としてタイムカードを使用していた場合などは、未申告の残業があったとしても、タイムカードから適正な残業時間を算出することができたはずです。にもかかわらず、PCのログを調べて残業が発覚したということは、タイムカードの打刻時刻と実際の労働時間が一致していなかったということになります。例えば、所定の勤務終了時間にいったんタイムカードを打刻し、その後でパソコンでの業務を継続して行っていたとなどということが考えられます。やはりこの場合にも、会社は、どちらの記録が適正な労働時間であったかを判断するために実態を調査しなければならないでしょう。

 いずれにしても、未申告の残業であっても、実際に労働時間と認められる残業をさせた場合には、基本的に会社は残業代を支払う義務が生じるということを忘れずに、残業時間を含め、労働時間の管理を適正に行うようにしてください。
そして、適正管理にあたっては、まずは、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基本としつつ、必要に応じて、残業命令書やこれに対する労働者からの報告書などの記録と突合したりすると良いでしょう。

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