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「在職中の年金受給の在り方の見直し【厚生年金保険法】」について 〜概要(ポイント)〜令和4年4月から
2022年08月31日 [情報]
 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立し、同年6月5日に公布されてから約2年が経過しました。同法改正の趣旨は、「より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直し等の措置を講ずる」(厚生労働省HP引用)というものです。
 そこで、今回は、当該改正事項の中でも、比較的相談されることの多い、令和4年4月から施行・導入されている「在職中の年金受給の在り方の見直し」および「受給開始時期の選択肢の拡大」について、2回に亘って、概要(ポイント)を説明いたします。
今回は、「在職中の年金受給の在り方の見直し」についての説明です。

1.在職定時改定制度の導入

老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者となった場合、これまで(令和4年3月まで)は、65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70歳到達時)にのみ年金額が改定されていましたが、「在職定時改定制度」では、令和4年4月から、在職中であっても、年金額を毎年10月分から改定することとなりました。
就労を継続したことの効果を退職を待たずに早期に年金額に反映することで、年金を受給しながら働く方の経済基盤の充実を図ろうとしたものです。

在職定時改定の仕組み
〇 基準日(毎年9月1日)において、被保険者である老齢厚生年金の受給者の年金額について、前年9月から当年8月までの被保険者期間を算入し、基準日の属する月の翌月(毎年10月)分の年金から改定されます。なお、令和4年10月分については、65歳到達月から令和4年8月までの厚生年金に加入していた期間も含めて、年金額が改定されます。
〇 対象となるのは、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者です。
※ 65歳未満の方は、繰上げ受給をされている方であっても在職定時改定の対象となりません。

2.65歳未満の方の在職老齢年金制度の見直し

 令和4年4月から、60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大することとなりました。
 具体的には、年金の支給が停止される基準が、現行の賃金と年金月額の合計額28万円から47万円に緩和され、賃金と年金月額の合計額が28万円から47万円の方は、年金額の支給停止がされなくなりました。なお、65歳以上の在職老齢年金制度については、現行の基準は47万円となっており、変更されていません。          

令和4年4月以降の計算方法(厚労省パンフレットより)
〇 基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下のとき
    → 支給停止額=0(全額支給)

〇 基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるとき
    → 支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−47万円)×1/2×12

※基本月額…加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額
※総報酬月額相当額…(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

【例:年金の基本月額が10万円で総報酬月額相当額が26万円、合計額36万円の場合】
年金
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が        基本月額と総報酬月額相当額が47万円を超え
28万円を超えるため、年金の一部を支給停止      ないため、年金の全額を支給

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